コンシャスな消費者のことを考えた化粧品処方における検討ポイント
Hearts & ScienceによるForces of Change調査の最新版では、パンデミックが「コンシャスな消費者(conscious consumer)」の台頭を加速させ、化粧品市場において最も急速に成長している部門のひとつであると強調しています。しかしコンシャスな消費者とはどういう人たちなのか、何を求めているのでしょうか。彼らのための処方はどうすればいいのでしょうか?

コンシャスな消費者とは?
コンシャスな消費者とは、機能や価格および従来の要素に加えて、倫理面や環境面に対する関心から購入の決定を行う消費者のことを指します。つまり、自分の価値観に合った商品のみ購入するのです。自分たちの健康や幸福感、ライフスタイルに対する確固たる目標を持ち、購入する製品を、自分たち自身や社会、そして地球にポジティブな影響を与える手段と捉えています。
また、持続可能性の課題やブランドの倫理、企業の社会的責任を強く意識しています。自分たちの価値観やライフスタイルに合った目的志向のブランド製品を厳選しています。そしてそういった情報に精通もしているのです。
その高い課題意識から、原料やブランド、ビジネスに関する情報を調べる傾向があります。化粧品の倫理的な信頼性や環境への影響を、これまで以上に綿密に見ています。美容ブランドがマーケティング上の主張に説明責任を果たすこと、それを裏付けるための根拠を提示することを望んでおり、また完全なコミットメントとグリーンウォッシングのないものを期待しています。
なぜコンシャスな消費者のために処方する必要があるのでしょうか?
マインドのことを考えた消費のトレンドは一過性の流行ではなく、拡大しているムーブメントであり、パンデミックの間に急速に拡大しています。PwCの最新のGlobal Consumer Insights Pulse Surveyによれば、「COVID-19のパンデミックによって加速した消費者トレンドは定着しつつある」とし、世界の消費者の50%がパンデミック以降、より環境に配慮するようになったと述べており、コンシャスな消費者が今や美容市場において大きな集団になっていることを浮き彫りにしています。
また若い年齢層であることも特徴です。コアなミレニアル世代の58%がより環境に配慮した行動を取っており、こうした若い消費者はトレーサビリティーと透明性の高い原産地の製品を選んでいることから、グリーン企業の信頼性を明確に評価していることがわかります。つまりこの分野への販売を計画しないということは、現在の販売の大部分だけでなく、将来的に消費者の関心を占めることになるであろうものから目を逸らしていることになるのです。
コンシャスな消費者は何を求めているのでしょうか?
コンシャスな消費者にとっての優先事項は自身の健康とウェルビーイング(特に肌)、そして地球の健康とウェルビーイングです。しかし、彼らはパフォーマンス、イノベーションそして価格に見合った価値も期待しています。
美容ブランドに期待することは、原料の調達先から完成品の製造にいたるまでの完全な透明性です。このグループはブランドの主張に対してファクトチェックができることを期待し、この透明性が明確に伝えられていない場合は疑いを持ちます。
ブランドの基礎となるクリーンおよびグリーンの主張に不可欠な構成要素は、以下の通りです。
- 安全性: 私にとっても、私たちにとっても良いもの。使用時における健康への安全性は規制上の必須事項です。コンシャスな消費者にとっての安全性は、地球、動物、そしてプロセス全体に関わる人々の安全も含む、全体論的なアプローチとして見られます。
- 持続可能性: 環境及び社会的責任。コンシャスな消費者にとっては、環境への配慮に留まらず、文化的持続可能性、経済発展、および社会的平等といった多くの社会的側面も考慮されます。
- パフォーマンス:実証された主張と認証。ブランドは高機能な製品を提供する必要があり、その過程でのイノベーションも期待されています。
- 透明性:調達と製造の慣行。原料の調達と製品の製造に関して、何を、どこで、誰が、どのようにして行うのかという質問に答える必要があります。
図1: コンシャスな消費者の期待に応えるための主要な構成要素
これら4つの不可欠な要素は、化粧品処方者がアイデアの段階(すなわち処方における最初の原料選択)から完成品に至るまで、詳細かつ実用的な方法で考慮する必要があります。
コンシャスな消費者のための処方はどうすればいいでしょうか?
総体的なアプローチと製品のライフサイクル全体の包括を含む、一連の具体的な検討事項が原料と完成品に対して期待するリストを形成しています。コンシャスな消費者は以下のようなパイプラインに沿ったいくつかの期待を持っています。
原料への期待
毒物学的プロファイル/安全性の資料が作成されていて処方者が利用できること
- ヴィーガン
- クルエルティフリー
- リーフセーフ
- 生分解性
- 歓迎される原料としては、合成物質の代替としてのナチュラル、オーガニック、植物素材、天然由来の原料
クローダのボタニカルポートフォリオは、幅広い原料を提供することでブランドの処方目標をサポートしています。加えて、Amigum, Amipreserve, Amiox ER, Milk Thistle Lipolami, Scrubami range, Phytofoam, Sensifoam,などの幅広い植物エキスやアクティブ原料、処方原料の提供とそれらの組み合わせは、クリーンメイクアップなどの多くのナチュラルソリューションを提供することができます。
- 持続可能で倫理的な原材料の調達
原材料の持続可能で倫理的な調達とは、環境と動物相の尊重、生物多様性の保全、地域社会への支援を続けていくことを意味します。
- 持続可能で質の高いものづくり
アルバン・ミュラーの二酸化炭素と水の削減、エネルギー効率、廃棄物管理、そして生物多様性の保全といったエコプロセスとエコファクトリーは図表2を参考ください。
- 完全なトレーサビリティー
- 文書化された効能表示
信頼性のある第三者による認証もそうです。
例:EffCI(欧州化粧品原料連合会)、 COSMOS、UEBT(生物原料の流通に関する倫理組合)。
Cosme-Phytami Cucumber ECはUEBTの認証を取得しており、COSMOS認証の天然植物成分は100以上取り揃えています。
図表2: アルバン・ミュラーのエコファクトリーのハイライト
最終製品への期待
・安全性の証明、すなわち認定された第三者による処方安全性評価
・スキニマリズム(Skinimalism)、より少ないものでより多くを目指すアプローチ:
・水の効率化と、ウォーターレスの技術革新
・多様性と包括性を重視した設計
製品は:
- 高い安全性と衛生基準をサポートするGMP認証拠点で生産
- 再生可能な電力を利用して二酸化炭素排出量を減らし、水の効率性、廃棄物管理、生産原料のリサイクルを向上させた、環境への影響が少ない拠点で生産
- 生産拠点の環境と動物相を尊重し、公正な賃金、職場環境の確保、地域社会の支援に取り組んでいる拠点で生産
・COSMOSなどの第三者による認証
・サステナブルな包装
・科学的根拠に基づいて証明された効能
コンシャスな消費者は、彼らの信念とライフスタイルに沿った価値を持つ、目的志向のブランドから購入したいと考えています。彼らは、自分たちの価値観に合わないブランドを変えることをためらいません。ブランドの価値観に関する彼らの要求は、ブランドが何を行っているかということであり、サプライヤーなど一緒に働いている人々にも及びます。
クローダはコンシャスな消費者のグローバルなニーズに応える美容ブランドの支援に積極的に取り組んでいます。私たちは倫理的に調達された原材料を用いて製造された、持続可能な原料を提供することにイノベーションを集中しています。環境とその多様性を守る必要性を理解し、倫理的、社会的、環境的影響を最小限に抑えたエキスの開発を行っています。クローダの企業価値と自然原料の幅広いポートフォリオは、お客さまの革新的な処方プロジェクトと市場での目標をサポートします。
References:
- Conscious consumerism. Forces of change research by Hearts & Science. July 2021
- The global consumer: changed for good. PwC report June 2021
- Pitman S. The rise of conscious consumerism: the cosmetic world is heavily affected by such considerations, says expert. CosmeticDesign, November 19, 2019
- Brands, you need to listen to the conscious consumer of the future. Forbes, April 2021