ナノマテリアルやナノ粒子は一般的には1-100 nmのサイズの物質のことを指します。“ナノ”は1メートルの10億分の1のサイズです。微砂、ocean spray、蝶の羽、クモの糸のクリスタリンタンパクなどナノスケールの物質はたくさんあります。という状況の中UVフィルターの“ナノ”サイズは大きいです! 例えば、有機紫外線吸収剤のEthylhexyl Methoxycinnamateは300Da以下の分子で、サイズでいうと1nm以下です。無機紫外線散乱剤はこのサイズに比べるとかなり大きいです。なので“ナノ” UVフィルターは比較的大きいものと考えて問題ありません。
使用する定義や測定方法によってナノ粒子またはナノ粒子でない場合もありますが、CrodaのSolaveil 酸化チタン (TiO2)や酸化亜鉛 (ZnO)の UV フィルターは一定の粒子径の範囲内になるように設計されています。
世界の Personal Care業界には、ナノ粒子に関する統一の定義はありません。ヨーロッパでは次の3つの定義が参照されています。
- Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACh) definition
- European Cosmetics Regulation
- Cosmetics Europe
統一の評価方法はありません。業界内では遠心沈降法や光散乱法が最も多く利用されています。Crodaでは現在、100nm以下の粒子の測定に信頼性と再現性の観点からX-Ray Disc Centrifuge (XRDC)法を採用しています。さらにもし必要であれば動的光散乱(DLS)の結果も提供可能です。粒子サイズや安全性に関する資料が必要な場合は、弊社営業までお問い合わせください。
CrodaのSolaveilシリーズは様々な保護機能を提供するため、パーティクルサイズも様々です。各定義によるナノマテリアルの分類と測定方法によって、Crodaはリクエストベースでステートメントを用意しています。詳しい情報が必要な場合は、弊社営業までお問い合わせください。
はい安全です。ナノマテリアルの定義や測定方法に関係なく、最も重要なことはナノマテリアルの安全であるということです。世界の全ての規制団体はTiO2 と ZnO はUVフィルターとして最大25%まで配合可と認証しています。過去のナノ粒子論争では、ナノ粒子が皮膚のバリア機能を通過することを懸念していました。最近のTiO2 に関する懸念事項は International Agency for Research on Cancer (IARC)が吸入による発がん性の懸念物質として分類したことです。 (詳しくはこちらをご覧ください。 “Using Titanium Dioxide, Reclassification in Europe")。しかしながら、ほとんどのサンスクリーンは経皮で塗布され、吸入の可能性はありません。
the US Food & Drug Administration (FDA)[1][2] と the EU Scientific Committee for Consumer Safety (SCCS).[3][4][5] による安全性評価が実施されました。これらの評価の結果、サイズに関係なく皮膚に浸透吸収されないと結論つけられました。
Crodaが他の主要な原料メーカーや化粧品メーカーと共同で行ったナノ TiO2 とZnO のヒト安全性に関するデータは こちら.
化粧品に使用される二酸化チタンはコーティングにより光活性を軽減していますので、化粧品グレードの二酸化チタンが光毒性を示したケースはありません。CrodaのSolaveilシリーズのTiO2 は光活性を評価されており、SCCS opinion[3]による閾値の範囲内です。一方、酸化亜鉛は光活性がないので、被被覆の状態で使われています。
二酸化チタンにはルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型の3種の結晶構造があります。Crodaで用いているルチル型はアナターゼ型よりも屈折率が高いので、UV減衰目的では効果的です。また、アナターゼ型よりも光安定性が高いです。ブルカイト型は市場からの興味が薄く、UV減衰の目的としては利用されていません。
Crodaはアルミニウムを使用していますか?
いいえ。Crodaは可溶性のアルミニウムは使用していません。Croda ではアルミニウムとは化学的に異なる酸化アルミニウム(アルミナ)やステアリン酸アルミニウムの状態で利用しています。化学的に表面に結合しているので、アルミニウムを溶解しません。アルミニウム塩は乳がんやアルツハイマー病に関わるとされていますが、多くの国際的な専門家グループが現在のところこの関係性を示す証拠はないと結論つけています。現在SCCSで引き続き調査中です。https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_153.pdf
しかし、TiO2 UV フィルターのコーティングに使われるアルミニウム類は溶解性のアルミニウム塩とは化学的に異なります。コーティングに用いられるアルミニウム類(酸化アルミニウム(アルミナ)やステアリン酸アルミニウム)は不溶性で水溶性のアルミニウム類を増やしません。コーティング物質は化学的に表面に結合し安定です。[6] さらなる研究により被覆処理したTiO2 は経皮吸収されないことが証明されています。[7]
[1]https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm631736.htm
[2]https://www.crodapersonalcare.com/en-gb/news/2019/03/personal-care-new-fda-regulations-for-suncare
[3]https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_136.pdf
[4]https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_206.pdf
[5]https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_103.pdf
[6]https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/la047390d
[7]https://pdfs.semanticscholar.org/c866/32a405e6ae1d1f34d9bd37c5ce05e753dc3c.pdf