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化粧品業界におけるマイクロプラスチックビーズの段階的廃止

より持続可能な世界への需要が拡大しています。特に地球温暖化や製造プロセス、製品のライフサイクルによる環境への潜在的なダメージに対する懸念がこの需要の拡大を加速させています。中でも、マイクロプラスチックの禁止は一般市民や使用規制にとって最優先事項の一つに挙げられています1。しかし、マイクロプラスチック廃止の背後にある本当の話をご存じでしょうか?

この記事では、マイクロプラスチックとは何か、特に化粧品においてマイクロプラスチックがどのように使われているのか、なぜ化粧品業界がマイクロプラスチックを段階的に廃止しているのか、そしてマイクロプラスチックの代替品は何なのかへの理解を深めるのに役立つ質問にお答えします。
様々な場所で見られるマイクロプラスチック

マイクロプラスチックとは?

マイクロプラスチックは、通常5mmから100nmの大きさのポリマーから成る固形粒子で、機能性添加物や他の物質と組み合わされていることもあります。また、合成物質であり、生物分解性がないことや水への溶解性が2g/L以下2,3という特性があります。形状、密度、大きさはさまざまで、ビーズ状、断片状、ペレット状、フィルム状、泡状、繊維状などの形状をしています。 
マイクロプラスチックは用途によって2種類に分けられます。一次マイクロプラスチックとは、製品に意図的に加えられる原材料のことです。微小なサイズであることがマイクロプラスチックとしての役割を担っています。例えば、大きなプラスチックの物質を開発するために世界中で大量に使用されているペレットや、パーソナルケア製品に使用されているマイクロプラスチックなどです。二次マイクロプラスチックは、大きなプラスチックの摩耗、露出、または摩擦によって生成されます。多くの人はプラスチックの海洋ゴミを思い浮かべると思いますが、路上でのタイヤの摩耗や洗濯後に水に放出される衣類の繊維を思い浮かべる方はほとんどいないのではないでしょうか4

なぜマイクロプラスチックが化粧品に使用されるのか?

マイクロプラスチックビーズは、形状と固体の特性により肌を傷つけずに角質除去ができる研磨性を持つ形状をしているため、広く化粧品に使用されてきました。こうした背景から、時おりマイクロプラスチックビーズの使用は角質除去製品に限定されて説明されることがありますが、実際にはそれ以外にも使用されています。「ビート・ザ・マイクロビーズ」によると、パーソナルケア製品には500以上のマイクロプラスチック原料があり、まさかマイクロビーズが使用されているとは思われないような化粧品にも使用されています5
 
マイクロプラスチックビーズは角質除去剤だけでなく、その属性と性質を生かして、濁り剤、や増量剤、増粘剤に皮膚コンディショニング成分、感触改良剤または活性成分のリリースコントコール剤として使用されています。数多くの利点を持つため石鹸にフェイシャル・ボディスクラブ、歯磨き粉、日焼け止め、マニキュア、デオドラント、フェイシャル・ボディクリームやローション、そして口紅、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、アイシャドウなどの数多くの化粧品に使われています。

パーソナルケアにおけるプラスチックマイクロビーズ

パーソナルケアで使用されるマイクロプラスチックビーズの量についてより具体的なアイデアを得るために、以前の記事「Sustainability without compromise with ChromaPur CV2 and CV7」を振り返りましょう。「Plastic Soup Foundation(プラスチック石鹸財団)」で一部の主要ブランドからの7,500以上の化粧品を評価したところ、マイクロプラスチックを含まない製品は、13%しかないと発表しました6この調査により、マイクロプラスチックビーズがどれほど広く使用され、私たちの浴室に存在しているのかを示しています。

なぜマイクロプラスチックビーズを禁止すべきなのか?

 

実は、パーソナルケア製品に含まれるマイクロプラスチックの大部分は、洗い流された後に排水システムに流れ込んでいます。マイクロプラスチックにはさまざまなサイズがあり、非常に小さいものもあるため、処理システムでろ過できず、直接海や湖、川に流れ込むことがあります。「Environmental Science & Technology」誌は、米国の家庭から毎日排出される8,080億個のマイクロプラスチックのうち、80億個が直接環境に放出されていると発見し、この現象について強く言及しています7

 

マイクロプラスチックの主な特徴として、生物分解性がないことを忘れてはいけません。マイクロプラスチックは蓄積し、水生生物やエコシステムへの脅威となります。水生植物はプラスチック汚染に非常に敏感で、接触すると4%から89%のサンゴが病気に感染するリスクを高めることが証明されています8。野生生物がマイクロプラスチックを食べ物と間違えて摂取してしまうと、損傷を受け、危害が及びます。海洋の食物連鎖を担う動物プランクトンや魚、ムール貝、その他の海洋動物はマイクロプラスチックを食べてしまうため、私たちの食卓にマイクロプラスチックが上る可能性もあるのです9

 

マイクロプラスチックが人間の安全性に及ぼす影響についての科学的な証拠は十分ではありませんが、その懸念は高まっています。特に、他の有毒成分に付着したマイクロプラスチックが人の健康に与えるリスクを示すという最近の研究もあり、さらに懸念が深まっています10

マイクロプラスチック 画像

マイクロプラスチックは化粧品にまだ使用されているのか?

 

いまだに化粧品にマイクロプラスチックビーズが含まれているものがある一方で、一部のメーカーや政府がマイクロプラスチックを禁止するなど化粧品業界は正しい方向に進んでいます。プラスチック汚染が着目されるようになってから、一部の企業は自主的に製品へのマイクロプラスチックビーズの使用を段階的に止めています11。さらに、「マイクロビーズ除去海域法」のような規制の導入や、2023年に欧州委員会により投票が行われる可能性が高い、欧州化学機関ECHAが提出した規制提案などに続いてマイクロプラスチックビーズの使用を取りやめる公約が増えています12, 13

 

Beat the Microbeadー今後も継続的な取り組みが必要です。グローバルレベルでマイクロプラスチックビーズの共通の定義を確立することで、プラスチック製マイクロビーズの段階的な廃止をサポートする既存の取組みに見られる矛盾を取り除くことにつながります。消費者として、私たちは購入する製品にマイクロビーズが含まれていないことを確認して、気を付けることができます。化粧品に使用されがちなプラスチック製マイクロビーズについての詳細は、Beat the Microbead ウェブサイトをご覧ください。

化粧品用途でのマイクロプラスチックの代替品になるものは?持続可能なものか?

 

近年、市場で数多くの自然由来の代替品が台頭してきました。塩、砂糖、コーヒーのかすなどは、角質を除去するマイクロプラスチックビーズに代わる解決策として提供されています。また、米、とうもろこし、タピオカから作られたデンプンや、シリカ、セルロース、クレイなども、マイクロプラスチックビーズと同様の性質を持っています。しかし、それらは必ずしもすべて同じではありません。こういった素材は自然由来で生分解性があるという性質を持つため、消費者にとって魅力的である一方で、調達方法や製造方法がすべて持続可能ではありません。

 

クローダではこうしたポジティブな変化に貢献したいという想いから、化粧品業界に向けて独特の表面構造と形態を持つ2種類のパウダーChromaPur™ CV2 & CV7セルロースを販売しています。通常は廃棄されてしまう、環境に優しいプロセスで作られている持続可能かつ地元で収穫されたクロトウヒから得られる木材パルプを使用し、スキンケアやカラーコスメへのサステイナブルで機能的なマイクロプラスチックビーズの代替品としてご使用いただけます。

ChromaPur CV2 & CV7 コミュニケーター

ChromaPur CV2 & CV7 Product Overview Sheet

ChromaPur POS カバー画像
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マイクロプラスチックの使用について考えるべきことは何でしょうか?


マイクロプラスチックは私たちの生活の大部分を占めており、多くの用途で使用されており、長年にわたり製品開発の中心にありました。持続可能な影響についての現実を直視し、取り組むことは容易ではありません。しかし、その特徴や性質、使用用途や目的を詳しく調べることで、関係者や消費者がサステイナブルな代替品の開発を推し進められるようになっています。


国内外のイニシアチブに加え、消費者の目やこれからの規制、マイクロプラスチックが海洋生物や人間の生命に与える影響に関するさらなる研究が正しい方向に進むことを助けてくれるでしょう。

 

References

1. Metzler, D., Simbeck, S., Microplastics: Global buzz and concern spur increased regulation, Haley Aldrich, 28 April 2022.
2. Dr Lebreux, F., Future Restriction of Microplastics in Cosmetic Prodcuts, Biorius
3. ECHA’s Restriction Proposal for the Ban of Microplastics, Intertek, March 2021
4. Microplastics, Marine Debris Program, National Oceanic and Atmospheric Administration
5. Almost 9 in 10 products from major cosmetics brand contain microplastics, Plastic Soup Foundation, April 2022
6. Rochman, C., Kross, S., Armstrong, J., Bogan, M., Darling, E., Green S., Smyth, A., Verissimo, D., Scientific Evidence Supports a Ban on Microbeads, Environmental Science & Technology, 2015 
7. Friedlander, B., Oceanic plastic trash conveys disease to coral reefs, Cornell Chronicle, January 2018
8. Barrett, T., Microplastic pollution ‘number one threat’ to humankind, Environmental Journal, February 2019
9. Microplastics in Skincare Products, Eucerin
10. Sohngen, T., Th Tiny Microbeads in Soap May Pose a Big Environmental Problem, Global Citizen, September 2017
11. All about Plastic Microbeads, Cosmetics Europe
12. Microplastiques, European Chemicals Agency 

持続可能で機能的なマイクロプラスチックビーズの代用となる高品質なセルロースパウダーの紹介動画はこちら

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